解析事例

winLIFEを用いた解析事例

自動車分野

自動車業界には多数のwinLIFEユーザーがいます。以下に代表的な事例を示します。

動力伝達系
乗用車、トラック、農業用車両の動力伝達系には、クラッチ、トルクコンバータ、変速機ハウジング、シャフト、遊星歯車、ねじりバネなどが含まれています。実際の走行条件を考慮するために、試験コース上で測定が行われています。ドイツの有名なサーキットコース「ニュルブルクリンク」で詳細な測定が実施され、動力伝達系の疲労予測が行われました。7速自動変速機を搭載したメルセデスS500の実測トルクと荷重の関係が下図に示されています。


ダイムラー社の7速自動変速機

ニュルブルクリンクの試験コース上での7速自動変速機の出力トルクの滞留時間と速度の関係

歯車の応力振幅の分布とS-N曲線:
コンピュータシミュレーションとテストリグ(DV-制御およびWV-制御)の比較

サスペンション
軍用車両の設計と試験にwinLIFEが用いられています。サスペンション、車軸、およびバネに対して計算が行われました。各種の路面状態における測定データを用いて、路面からの入力荷重が決定されました。テストリグの結果とシミュレーションの間で車両の損傷度を比較した結果、優れた相関性が認められました。


winLIFEで計算された軍用車両”フェネック”

リムに加わるタイヤからの力

ホイールと疲労解析が行われたハブ

路面状態とミッションごとのフェネックの計算結果

航空機分野

空港での航空機の移動は、牽引トラックを用いることがより効率的です。トラックはフロントの着陸装置を牽引しますが、疲労寿命に関する疑問が生じました。

着陸装置にひずみゲージが取り付けられて、着陸時と空港でのトラック牽引時のひずみが測定されました。

疲労寿命解析が実施され、着陸時とトラック牽引時を比較した結果、これらの条件下でのシステムの有用性が示されました。


測定に用いられた航空機

ひずみゲージが取り付けれた着陸装置

結果として、着陸時とトラック牽引時の疲労寿命を計算することができ、さらに荷重ケース間の関係を調べることができました。

風力タービン

風力タービン部品の寿命が20年以上あることを証明する必要があります。実測の荷重履歴が用いられます。それぞれは10分間の時刻歴区間を表しています。測定された荷重は発電機のモーメントと機械基礎部の変位です。さらに、接触と非線形性を含むボルトの初期応力と、機械の自重による曲げモーメントが考慮されました。

疲労寿命計算は、静的有限要素解析における基準荷重ケースの応力結果を用いて実施されます。すなわち、基準荷重ケースの結果が実測荷重でスケール倍されます。ドイツのロイド船級協会が定めるガイドラインに従って、応力S-N曲線が作成され使用されました。

以下の2つの図は、winLIFEとFEMAPを用いて計算された遊星キャリアの寿命結果です。これらの計算はドイツ・ロイド船級協会の規定に従っています。



洋上風力タービンの遊星キャリア(上図:FEAモデル)、20年間に拡張された122の荷重シナリオによって計算された疲労寿命の結果(下図)

下図は、Zollern社製変速機ハウジングの結果です。ANSYSとwinLIFEで計算された損傷度を示しています。


ANSYSのFEAモデルを用いてwinLIFEで計算された風力タービンの変速機ハウジングの疲労寿命結果

シーム溶接の計算

ホットスポット検出(造船分野の事例)
このプロセスの重要な特徴は、プレート要素でモデル化された薄板溶接構造に対し、溶接部である板継手部に隣接する要素が自動検出されることです。疲労寿命計算には、溶接止端の切欠き部に垂直に投影された要素応力が用いられます。計算には1個の要素しか用いられないため、溶接切欠き部の応力増大率は限定的なものでしかなく、そのため、この方法の予測精度は構造応力法ほど良くありません。ただし、この方法を用いることで、構造物の危険箇所を発見できます。必要に応じて、検出された危険箇所を構造応力法で再計算し、予測精度を向上させることができます。この手続きによって、数百またはそれ以上の溶接部を有する大型構造物であっても、少ない計算時間で調査が可能になります。


荷重のかかっていない変形前の構造

荷重によって変形した構造

ホットスポット法による疲労計算の結果

構造応力法による疲労計算の結果

R1有効切欠き応力法(大型トレーラーの車軸)

トレーラーの車軸における弾性有効切欠き応力法(r1)の使用
この事例は、FEMAPとwinLIFEの連携について紹介します。複雑なコンポーネント(リアの車軸)の溶接継手がr1有効切欠き応力法で計算されています。

全体モデリングと部分構造法の使用例が示されています。荷重は実測の時刻歴から得られました。車輪荷重方向の3つの単位荷重条件がFEMAPで計算され、結果がwinLIFEへ転送されました。その後、疲労寿命計算の結果がFEMAPへ戻されて表示されました。


計算されたKögel社製シャフトの全体図

溶接部の損傷度の結果

winLIFEにおける疲労計算の分析用ツール

トレーラー連結器における構造応力法の使用
ボールヘッド式トレーラー連結器に対して、溶接シームが構造応力法によって計算されました。この事例では、U形材と矩形材をつなぐ左側すみ肉溶接部のみを考えます(図参照)。


トレーラー連結器の形状

モデルは主に四面体要素で構成されていますが、調査対象の溶接シーム領域は六面体要素でメッシュ分割されています。線形外挿による構造応力法では、すみ肉溶接部と節点列(図中、黄色の印が付いた節点)の距離を、定められた値に保つ必要があります。

節点ライン1と節点ライン2の距離は、それぞれスチール板厚の0.4倍と1.0倍を使用します。矩形材のスチール板厚は7.1mmなので、すみ肉溶接部から、節点ライン1は2.84mm、節点ライン2は7.1mm離して配置されます。


構造応力法におけるすみ肉溶接部の節点ライン

2つの荷重ケースがボールヘッドに作用します。これらは最初別々に計算されますが、下記に示すwinLIFEの疲労寿命計算では2つの荷重ケースを同時に作用させます。

U形材端部の穴領域が固定されます。

荷重ケース番号 荷重タイプ 荷重値
1 横荷重 y方向引張力 Fy = 20000 N
2 鉛直および水平荷重 x方向引張力 Fx = 21700 N
および
z方向圧縮力 Fz = -12000 N


横荷重を受けるトレーラー連結器の応力(荷重ケース1)

鉛直および水平荷重を受けるトレーラー連結器の応力(荷重ケース2)

ここでは簡易的な方法で、ボールヘッド式トレーラー連結器全体の疲労寿命を計算します。そのため、溶接部も含めてモデル全体に、基本状態のスチール材料を用います。

結果は、累積損傷度、等価振幅、および寿命消費率です(下図)。図から分かるように、この溶接シームの形状は、U形材と矩形材間のコーナー領域において損傷度を増大させています。前述の通り、これらの結果には、溶接部の低い材料強度は考慮されていません。


モデル全体の累積損傷度

等価振幅

下図には寿命消費率が示されています。0.178の寿命消費率は、耐久限度の17.8% が消費されたことを意味しています。


すみ肉溶接部の寿命消費率

掘削機アームのマルチボディ/FEAシミュレーション

掘削機アームの疲労寿命を調査するため、Recurdynを用いてマルチボディシミュレーションが実施されました。そして時間依存の応力結果が、RecurdynからwnLIFEへインポートされました。



シミュレーション用にメッシュ分割された掘削機アーム

構造の各節点における応力の時刻歴から、き裂発生までの繰り返し数が計算されました。加速度の変動は実稼働条件の影響を示していました。


最も損傷度の高い節点における相当応力の時刻歴

教育分野

多くの大学の講座でwinLIFEが使用されています。インストール数の拡張を求める声に応えて、大学向けの特別バージョンが用意されています。winLIFEは使い易い上に、ハイレベルな講義においても疲労挙動のデモに必要なすべての機能を備えています。
使い易いということは、理論を理解する必要がないという意味ではありません。しかしwinLIFEはドキュメントが良く整備されているため、操作内容を理解して使うことができます。実際、ユーザーは操作内容を理解したいと思っているはずです。疲労予測を成功に導くには、理論に関する広範な知識が必要です。学生はwinLIFEを使いながらそうした知識を身に付けることができます。

大学バージョンには、すべてのツールを装備した教授用の無制限バージョンが含まれています。教授は自身のパソコン上でハードウェアキーによってwinLIFEを使用することができます。また、10名の学生がwinLIFE BASICモジュールを使用できるフローティングライセンスも含まれています。この学生用バージョンには多少の制限があります。しかし教育用としては十分なものです。


応力とひずみの対話型シミュレーション:荷重ステップ、応力-ひずみ経路、損傷度を1つのウィンドウに表示できます。ユーザーはそれらを対話形式で追加できます。このようにして、Masing則と材料メモリー効果のデモおよびチェックが可能です

ノイバー則のアニメーション:マウスを動かすと、開始点、応力とひずみの結果、双曲線がアニメーション表示されます。各種のノイバー補正法を表示して、それらの影響を理解することに役立ちます。
応力とひずみの状態を把握するため各時間ステップでモール円を表示できます。理解を深めることや問題の分析が可能です。

Mroszの降伏モデル