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プラスチック材料の磁気アルキメデス(Magneto-Archimedes)分離装置の開発

日本工業大学 創造システム工学科 准教授 池添 泰弘   様 ご提供



プラスチック材料を分離する装置の概略図。一般に、プラスチック材料はわずかに磁石から反発力を受けますが、磁石ではさまれた板状の流路をプラスチック材料の混合物が通過する時に、磁場分布が強い空間を通り抜けることができる材料と通り抜けることができない材料で分けることができます。図は、PETボトルの主要な材料である、ポリエチレン、ポリスチレン、PETの分離を例として描かれています。




磁石の間の磁場強度分布を計算した結果です。磁石の隙間の少し上に磁場強度が弱いところができますが、ここで、トラップされて横に流れてしまう物質とトラップされずに下に落ちる物質に分けられます。



分離の様子を撮影したものです。(a) は材料を分別する前の混合物の様子で、赤がポリエチレン(PE)、黄色がポリスチレン(PS)、半透明がPETです。(b)はPSとPETが最後の磁石のところで分別されている様子です。PEは、これよりも前にすでに分別されています。(c)すべての材料が分別された後の回収ポケットの様子を撮影したもので、ほぼ100%の分離に成功していることがわかります。


お問合せ:日本工業大学 創造システム工学科

現在設計されている対象について教えてください(もしくは、設計されている製品を教えて下さい):

低エネルギー消費社会実現のためには、廃棄物のリサイクルが重要ですが、その中でも特にプラスチック材料のリサイクルは、ゴミ排出量の削減の観点からも非常に重要です。現在、水との密度差・風力・光の反射などを利用した分離装置がありますが、私たちは、プラスチック材料がわずかに磁石に反発することと、材料の違いによりその力にわずかに差が生じることを利用した磁気分離システムの開発を行っています。ほとんど電力を必要としない省エネルギーでの分離を実現でき、騒音も少なく、環境にやさしい磁気分離装置となります。

MagNetの導入に踏み切った理由と、他社製品と比較検討した上で、MagNetを選んだ決め手を教えてください :


将来的には、力を受けた物体が動く様子を計算し、その結果をアニメーションで表示するような展開を考えておりますが、そのようなシステムへの拡大が容易にできるような仕様になっていたことと、はじめて使う人にもわかりやすいソフトになっていたこと、他よりも安かったこと、などが決めてとなり購入を決めました。

現在のMagNetの活用方法を教えてください:


複数の永久磁石を様々な向きで空間に配置し、周囲の磁場分布のデータを抽出し、このデータを基に、物体にかかる力を計算し、磁気分離に最適なシステムの設計を行っています。 研究室には10数名学生がいますが、そのうち5人は扱えるようになっていて、自分たちで工夫して計算を行えるようになってきています。わからないことがあると、学生同士相談しながら取り組んでおり、学年を超えて使いかたの引継ぎもされていて、将来が楽しみです。

MagNetの操作はどの程度でおぼえられましたか:

最初に取り組んだ学生は、このようなソフトを扱うのが全く始めてでしたが、2~3ヶ月後には、やりたいことがおおよそできるようになっていました。

MagNet導入前と導入後で変化はありましたか?:

具体的な数値を見ることができるため、確信を持って実験に取り組めるようになりました。さらに、予想していたことと違う実験結果が出たときに、磁場分布を詳細に解析することで予想と違っていたことの原因が判明し、それと同時に新しい知識を得ることができました。また、その結果をもとに、新しい研究へのアイデアが生まれてくるようになりました。おかげで、当初考えていた研究内容よりも、かなり広い展開を期待しています。

MagNetへの今後の期待をお聞かせ下さい:

Email等での質問に対する迅速な回答は大変助かっています。今後も継続的なサービスをお願いします。詳細な日本語のマニュアルを作っていただけると、さらに助かります。

ありがとうございました。