winLIFE Multiaxial

疲労寿命/信頼性評価解析ソフトwinLIFE -機能

多軸計算を実施するには、winLIFE BASICに加えて、winLIFE MULTIAXIALモジュールが必要です。

コンポーネントへの負荷による局部応力/ひずみ

疲労寿命計算を行うには、局部応力/ひずみが分かっていなければいけません。いくつかの問題があり、各種の理論を用いて取り組む必要があります。解析対象のコンポーネントの種類が重要であり、荷重の種類も重要です。

荷重は、荷重-時間関数(時刻歴)、荷重スペクトル(荷重ステップの頻度)、または周波数領域での荷重のスペクトル密度(パワースペクトル密度)として入力できます。ここでは、使用すべき適切な方法について簡単に説明します。

コンポーネント 入力荷重 問題の解法 利用可能なインターフェース
弾性体(微小変形、切欠き部の部分的な塑性化は可能) 荷重の時刻歴 基準のFE荷重条件を、対応する荷重時刻歴のスケーリングによって重ね合わせる FEMAP***, ANSYS***,
MEDINA*, ABAQUS*
荷重スペクトル 基準のFE荷重条件を、対応する荷重時刻歴のスケーリングによって重ね合わせる FEMAP***, NASTRAN***,
ANSYS***,
MEDINA*, ABAQUS*
パワースペクトル密度 ランダム疲労:FEMランダム解析、FEMからのRMS値のインポート、および同一損傷度の荷重スペクトルの作成 計算は可能であるが、かなりの準備作業が必要
マルチボディシステム、一部弾性体、大きな相対運動、慣性力 荷重時刻歴がマルチボディシステムを加振 過渡応答解析:FEM/MBS計算から応力テンソルの時刻歴をインポート FEMAP***, NASTRAN***
ADINA**, ABAQUS*,
MARC*
フレキシブルボディシステム、コンポーネントの振動が関係 荷重時刻歴がフレキシブルボディシステムを加振 モード重ね合わせ法:モーダル応力とモーダル座標が計算されて、静的解析の場合と同様に重ね合わされる

過渡応答解析:FEM/MBS計算から応力テンソルの時刻歴をインポート
Recurdyn***/FEMAP***

FEMAP***
/NASTRAN***,
ADINA**, ABAQUS*,
MARC*
パワースペクトル密度 ランダム疲労: FEMランダム解析、FEMからのRMS値のインポート、および同一損傷度の荷重スペクトルの作成 計算は可能であるが、ユーザーによるかなりの準備作業が必要

***​インターフェースはwinLIFEのインストールCDに同梱
**​マクロと例題はwinLIFEユーザーがサポート
*​winLIFEユーザーがこのソフトウェアをwinLIFEとともに問題なく使用しており、独自にインターフェースを準備している
Steinbeis社によるサポートはなし

基準FE荷重条件の重ね合わせ:時間変動荷重を受けて微小変形する物体
物体が1つまたは複数の荷重(力、モーメント)を受けて微小変形する場合、荷重時刻歴(実測値)を静的に決定された基準の荷重条件と組み合わせることによって、局部的に生じる応力とひずみの計算が可能になります。

基準の荷重条件から計算された応力テンソルが、実測の荷重時刻歴によってスケール倍され、時間ステップごとに重ね合わされます。結果は応力テンソルの時刻歴であり、これが累積損傷度の計算における基礎データとなります。この手続きは、実測荷重による物体の変形が十分小さい場合に使用できます。

下図の例では、以下の情報が必要になります。

時間の関数(時刻歴)として力の経路:​F1(t), F2(t), F3(t)

基準FE荷重条件の結果:各ケースにおいて、力(FFE1、FFE2、FFE3)は、対応する力と同じ作用線および作用点を持っています。FE計算の結果は、荷重条件ごとの問題となる各節点(表面の節点)における応力テンソルです。


時間変動する一定方向の力を受けて微小変形する物体

非線形過渡応答解析:形状が変化するコンポーネント、時間変化/方向変化する荷重
物体がその形状を大きく変化させる場合、または作用力の方向が変化する場合、または慣性力が発生する場合は、上記に示した重ね合わせ法は適切な計算法ではなくなります。例えば、掘削機のショベル(下図)は、3つの角度α、β、γが時間変化しながら動きます。外力も、載荷物が移動するために変化します。

このような場合は、MBS/FEMソフトウェアを用いて掘削機の動作をシミュレーションすることにより、問題となるポイントでの内力や応力を計算できます。応力状態を完全に記述する応力テンソルも入手することが可能です。問題となる節点kにおける時間ステップtごとの応力テンソルをエクスポートすれば、それに基づいてwinLIFEによる疲労寿命計算を実行できます。

このようにして、その他の幾何学的非線形コンポーネントや振動するコンポーネントなども調査することが可能です。


各コンポーネントが相対的に移動するマルチボディシステム

動的多軸荷重を受けるパーツ

動的荷重が主応力方向を大きく変化させるようなパーツの疲労寿命計算は、特に問題があります。その理由は、主応力方向が一定を保つ場合に比べて、荷重スペクトルの調査と計算が非常に複雑になるためです。

こうした問題は、車体構造、軸コンポーネント、クランクシャフト、風力発電用の回転ブレードなど、多くの技術分野で見られます。


コンポーネントに作用する力の荷重時刻歴

下図は、動的荷重を受けるステアリングの例を示しています。このコンポーネントには、水平力のグループF1と鉛直力のグループF2が同時に作用しています。これらの力は互いに比例していないので、主応力方向が大きく変化します。これは多軸問題と呼ばれます。


複数の力が同時に作用するパーツ

き裂は通常、表面で発生するため、計算に際しては、表面の応力を考慮するだけで十分です。表面の応力は、2次元の応力状態を形成します。そのため、解析はかなり容易になります。


多軸問題の特徴:単軸および二軸問題はwinLIFE BASICで解くことができる。多軸問題の場合はwinLIFE MULTIAXIALが必要になる

時間の関数としての主応力が、問題を多軸問題として扱う必要があるか否かを決定します。

角度φまたは2つの主応力の比s2/s1が時間変化する場合は、多軸問題として扱う必要があることを意味します。モールの応力円も、この判定に利用できます。

応力方向の変化がわずかであれば、多軸問題もデメリットを生じることなく簡易法で計算できるため、開始時点で多軸性の度合いを調べる必要があります。そのためWinLIFEは、特徴的な時間ステップに対して、角度φと主応力比s2/s1をポイントの形で表示します。このポイント群の位置は、多軸問題が実際に存在するかどうかや、二軸を仮定することで簡易計算が可能ではないか、ということを確認するために役立ちます。


表面節点において主応力比に依存する最大主応力

損傷パラメータ
切断面の応力状態は垂直応力とせん断応力で構成されるため、損傷等価量の決定には、これらを使用する必要があります。下記の相当応力の仮定や損傷パラメータが利用可能です。

  • 垂直応力、せん断応力、および修正von Mises基準
  • Findleyの方法
  • Smith-Watson-Topper、P. Bergmann、Socie、Fatemi-Socieの各方法

方向/溶接継手に依存した疲労寿命計算
特に風力発電や造船の分野では、溶接継手の疲労寿命を予測する手法として、構造応力によるアプローチが一般的です。それ以外の方法では大規模なコンポーネントの計算が困難になるためです。winLIFEには、数種類の構造応力アプローチが含まれています。ユーザーは、溶接止端部まで外挿するための応力テンソルと単位法線ベクトルを含んだ入力ファイルを準備する必要があります。


構造応力アプローチのためのFEメッシュの使用例

疲労寿命計算の実施方法

静的FEAと荷重時刻歴(実測値)に基づく静的重ね合わせ法の使用
計算は、簡易法の場合と同様に、以下のステップで実施されます。

  • ​最初に、実働荷重に対応した基準FE荷重条件を計算する必要があります。これは「単位荷重」で実施されます。
  • ​材料のS-N曲線を、単軸問題のS-N曲線と同じ方法で定義します。局部ひずみアプローチを用いる場合は、e-N曲線を作成する必要があります。
  • ​重要な節点を事前に選択しておけば、計算時間を大幅に削減できます。この選択は、ユーザーが節点番号を入力する方法と、winLIFEが自動的に解析を行って、重要となる可能性が最も高い節点を見付け出す方法があります。
  • ヒステリシスが生じている場合、および共通の反転のみを考慮する場合は、荷重の時刻歴を損傷に関連する事象だけに削減できます。これによって計算時間が大幅に削減されます。
  • 選択した節点ごとの応力テンソルが、単位荷重ケースと荷重時刻歴に基づいて計算されます。
  • 次に、クリティカル・カッティングプレーン法によって、各切断面に対し節点および時間ステップごとに、せん断応力と垂直応力が計算されます。このデータから、相当応力または損傷パラメータを計算することができます。数種類の仮定および損傷パラメータが利用可能であり、ユーザーが選択する必要があります。
  • 節点、時間ステップ、および切断面ごとの相当応力が、レインフロー法に従って分類され、損傷度の計算が実施されます。最大の損傷度を示す切断面がクリティカルプレーンです。この結果がその節点に対する損傷度として採用されます。


FEAと組み合わせた多軸問題に対する疲労計算のフローチャート

モード重ね合わせ法

動的荷重を受けるコンポーネントでは、励振周波数がシステムの最小固有振動数の1/3未満の場合にのみ、前述の静的重ね合わせ法によって適切に解析することが可能です。この条件が当てはまらない場合は、信号を各固有振動数に対応した個々の分担率(モーダル座標)に分解する必要があります。さらに、各固有振動数に対応した応力テンソルも計算する必要があります。

モード重ね合わせ法を実施するには、下記の2つの特性量を計算する必要があります。

  • 固有振動数とそれに関連する応力テンソル
  • モーダル座標。これは、関連する周波数で構造を加振する信号の分担率を表しています。

この手続きは、静的重ね合わせ法と形式上同一です。

ひずみゲージの使用
ひずみロゼットを用いてひずみを測定した場合、このデータに基づいて疲労計算を実施できます。このデータを読み込む際には、順応性のある読み込みツールが利用可能です(下図)。

疲労予測は、測定が行われたポイントで実施されます。


ひずみロゼッタからの読み込み用マスク(ゲージ方向を入力することで、ほぼ全種類のロゼッタから読み込みが可能)

計算時間の削減方法

荷重の時刻歴が長時間にわたる場合は、大量の計算時間が必要になる恐れがあります。荷重の時刻歴を削減するには、少なくとも1つの荷重時刻歴に反転が存在するような時間ステップだけに限定すべきです。個々の荷重時刻歴にヒステリシスが選択されていれば、反転数を減らすことができ、その結果、計算すべき時間ステップ数が削減されます。

多軸モジュールでは、対話形式で荷重時刻歴を処理できる拡張機能が利用可能です。そのため、荷重の時刻歴を対話形式で加工することが可能です。

結果の分析

多軸問題では、以下の方法で結果の分析が可能です。

  • 各節点および検討対象の全時間ステップにおいてクリティカル・カッティングプレーンを示すモール円(発生している応力状態を見ることができます)
  • 各節点および検討対象の全時間ステップにおける最大主応力のベクトル

さらに、FEAプログラムのポストプロセッサを用いて累積損傷度を表示するための多数の機能があります。


1つの時間ステップのモール円(右図)、全時間ステップのモール円(左図)

多軸問題における結果の精度は、一般に単軸または二軸問題ほど良くありません。そのため、多軸計算に加えて、可能であれば常に従来の計算法も実施すべきです。

信頼できる結果は、き裂が予想されるクリティカルプレーンから得られます。実験結果と相対マイナー則を組み合わせることで、定量的に有益な推定が可能です。

部分荷重解析

コンポーネントに複数の荷重が作用している場合、個々の荷重が累積損傷度に対してどの程度影響を与えているか知りたい場合があります。これは、部分荷重解析で調べることができます。

以下の3つの方法のいずれかを用いて解析できます(これらの方法を区別するために、集合論における記号を使用しています)。

  • ∃!(= 一意的に存在)存在する荷重のうち1つだけが考慮されます。他の荷重はすべてゼロにセットされます。
  • ¬∃!(= 一意的に存在しない)作用荷重のうち1つがゼロにセットされ、他のすべての荷重は不変です。
  • ∀∃(= 任意)ユーザーは必要なだけ組み合わせを選択できます。

存在する荷重時刻歴ごとに、乗数の列L1, L2, .. が作成されます。この値が1であると、その荷重時刻歴はそのまま使用されます。この値が0であると、その荷重時刻歴は0にセットされます。

Index列は、マトリックスの行番号に対応しています。


部分荷重解析を定義するためのデータ

回転荷重/荷重ファイルの分割

回転しているコンポーネントは、スケール倍した単位荷重ケースの静的重ね合わせによって計算が可能です。回転は、複数の同一角度の放射状窓を通じて観察されます。荷重が特定の放射状窓の内側に来たとき、荷重時刻歴は、その荷重値のみに対応する荷重時刻歴に分割されます。放射状窓の外側にある荷重は、ゼロにセットされます。

メニュー項目 Extras / Tools / Split Load から入力マスクを開くと、ファイルの内容がウィンドウに表示されます。

コメント行があると、それらはスキップする必要があります。指定のボックスにコメント行の数を入力します。下図の例では、コメント行が存在しません(=0)。


回転荷重の荷重分割特性を定義するためのテーブル