winLIFE CRACK GROWTH

疲労寿命/信頼性評価解析ソフトwinLIFE -機能

多くの技術分野では、実用上のき裂(き裂長は約0.1〜1 mm最大)を許容する寸法設計が行われています。コンポーネントはこのき裂点を超えて使用すべきではありません。その理由は、初期き裂の発生からコンポーネントの完全破壊までの繰り返し数がわずか(全疲労寿命の約5〜10%)であるためです。この使用とリスクの好ましくない関係から、さらなる使用は勧められません。

き裂のあるコンポーネントを意図的に使うことがなくても、安全性が重視されるコンポーネントの機能および支持強度が十分に保守点検されているかどうかや、き裂が生じている場合の残りの疲労寿命はどれだけかといった疑問が生じます。試験を行わなくては、コンポーネントを破壊してしまうような欠陥を確実に発見できないなら、この評価は耐久性を確保する上で特に重要です。

航空宇宙分野では状況が異なります。そこではアルミ合金の軽量構造が用いられます。この場合、初期のき裂発生から破壊までの繰り返し数が長期に及ぶため、き裂のあるコンポーネントの使用が一般に受け入れられています。ただし、き裂進展の段階を把握すること、および、破壊する前に検査によってき裂を確実に発見することが重要です。そのため、き裂伝播解析は検査間隔を決定するための重要な手段となります。

損傷を解析し再現する場合は、き裂伝播量の見積もりができることもしばしば重要になります。損傷の専門家は、この問題に対して知識が豊富でなければいけません。

winLIFEは、き裂伝播計算に少数の手法しかサポートしていませんが、それらは見積もりには十分なものです。それらは、き裂が生じるまでの計算手法に対して、有益な追加機能を提供しています。

線形弾性破壊力学

完全またはそれに近い脆性材料の挙動には、線形弾性破壊力学が用いられます。

その目的は、公称応力を用いてき裂伝播を予測することです。き裂伝播において重要なパラメータは、応力拡大係数(SIF)Kです。これは、き裂先端における応力場の強さを表す指標であり、以下のものに依存します。

  • コンポーネントの形状
  • き裂のサイズ
  • 負荷状態

応力拡大係数は次式で計算されます。

K = σ * (π a) (1/2) Y

ここで、
K = 応力強さまたは応力拡大係数 [MPa m1/2 =N mm-3/2]
σ = き裂領域を含めた全断面のグロス応力
下図の場合:σ = F/bs [MPa=N/mm2]
a = き裂の長さ [mm]
Y = コンポーネントの有限な寸法と試験片の形状を考慮した補正関数
無限平板の場合はY = 1です。

長方形平板の補正関数が下図に示されています。


き裂長さと高さ-幅比に依存した補正関数

このグラフは、形状(特に、高さ-幅比)の他に、き裂の長さも重要であることを示しています。ここに示したプロセスを用いて、グロス公称応力を基準とした場合、補正係数の曲線はあらゆる断面で重要です。いくつかの断面に対して補正関数が存在します。実際のコンポーネントが利用可能であれば、データベースから類似の基準コンポーネントが採用されます。これが不可能であれば、FEMの力を借りて作業を進める必要があります。

き裂伝播は、き裂先端付近の応力場によって引き起こされます。き裂に関係する3種類の応力のうち、最も重要なのはモードIと呼ばれるもので、通常、これがき裂伝播に関連しています。このケースがwinLIFEに組み込まれています。他の2つのタイプ(モードIIおよびIII)は、比較的まれであるため(現在のところ)考慮されていませんが、将来のバージョンで含められる予定です。


負荷に依存したき裂のタイプ(モード)

最も簡単なき裂伝播の計算法は、パリスの式によるものです。

da/dN = C (ΔK)m

この式は区間ΔKth < ΔK < ΔKC において有効です。

ここで、
da = き裂長さの変化 [mm]
dN = 繰り返し数の変化 [1]
C = 材料特性(winLIFEで用いられる単位系での値) [Nmm-3/2]

Cが MPa m1/2 の単位で与えられている場合は、winLIFEが使用する単位に変換するために、Cに係数0,031623m を掛ける必要があります。

m = 勾配 [1]
ΔΚth = き裂伝播が生じない下限界 [Nmm-3/2]

ΔΚthが MPa m1/2 の単位で与えられている場合は、winLIFEが使用するNmm-3/2 の単位に変換するために、その値に31,623を掛ける必要があります。

ΔΚC = き裂伝播が不安定になる上限界 [Nmm-3/2]

ΔΚCが MPa m1/2 の単位で与えられている場合は、winLIFEが使用するNmm-3/2 の単位に変換するために、その値に31,623を掛ける必要があります。

パリスの式は区間2にのみ対応しており、応力比 RK は考慮されていません。応力比の影響を考慮する場合は、Erdogan-Ratwaniの方法が有効であり、3つの区間すべてに使用できます。


winLIFE

ここで、
da = き裂長さの変化 [mm]
dN = 繰り返し数の変化 [1]
C2 = 材料特性
m2 = 勾配 [1]
ΔΚth = き裂伝播が生じない下限界 [MPa m1/2]
ΔΚC = き裂伝播が不安定になる上限界 [MPa m1/2]
RK = 応力拡大係数の比 Kmin/Kmax [1]


異なる区間と特性値を持つき裂伝播曲線

パリスの式を用いたき裂伝播計算のステップは、以下のようになります。

  • 必要なデータ:材料定数 Co および m
  • 初期き裂の長さ ao
  • 初期繰り返し数 No
    これは計算されるき裂伝播量に影響を与えませんが、過去の荷重履歴を考慮するなら必要になります。通常はNo=0です。
  • 補正関数 Y(a):
    補正関数は、コンポーネントの形状とき裂の長さを考慮しています。き裂の長さaが変化するため、補正関数も変化します。間隔が短いときのみ補正関数は一定です。
  • き裂伝播:
    き裂伝播 dl は式3を用いて決定されます。き裂の長さが変化すると応力拡大係数Kと補正関数Yも変化することに注意してください。そのため、荷重の順序は非常に重要です。